読書のしるし:『自分の頭で考えて動く部下の育て方』

もくじ

で、リーダーは何をしたらいいの?

まず、どんなプロセスで人が能動的、主体的、自発的に動けるようになるのか。

それを知っておきたい。

フォロワーが自分で考えて動けるようになるまでの3ステップ

  1. 基本を理解して「あれやっといて」の指示だけで、教えなくてもできる。
  2. 疑問を楽しみにして、人に質問したり調べたりして、自分で解決しようとするクセがついている。
  3. 仮説を立て、解決を試みるという「*仮説的思考」が身についている。
評価のポイント
  • 仕事をおぼえようとしてきたか。
  • 少しずつ自分でできるようになってきたか。
  • 指示がなくても自分で仕事ができるようになってきたか。
たけ
たけ

業績より、内面に何が蓄積してきたかを重視し、「意欲をもって仕事に取り組めているか」をみるのだそう。それが自分で考えて動ける人を育てる評価法。

「仮説的思考」とは

相手の答えに対し、新しい情報を加味して、新たに質問する。「無知」から「知」を生む思考法。

これ、本書にめっちゃ出てくる。

1.教え方の基本「蔵・修・息・游」(ぞう・しゅう・そく・ゆう)をおさえる。

「蔵・修・息・游」とは、学習のプロセスを示す言葉なんだそう。

とは、おぼえようとするだけで必死になる時期。

習いおぼえたことをマスターしようと練習に励むのが

その結果、無意識に技を発揮できるようになるのが

完全にマスターした状態で、新たなことにもチャレンジしてみるのが

例:著者・篠原さんが、頻度高めのルーチンワークを教えるときの手順

1~6が蔵。7~8が修。9が息。それ以降が游。


1.まず「これ、わかるかな?」と尋ねる。

2.自分が見本をやってみせる。

3.本人に一回転だけやってもらう。途中で口を出さない。

4.作業を終えたと言ったら、「本当に忘れてるの、ない?」と注意を促す。

5.できているのを確認したら、「作業が終わったら声をかけて」と言い残してその場を離れ、残りの全ての作業をやってもらう。

6.「終了しました」と報告してきたら、出来をチェック。事前に伝え損ねていたことがあれば謝罪し、もう一度やり直してもらう。

7.問題ない状態になったのを確認できたら、教える作業はいったん終了。以後、その作業が発生する度に何度も作業を繰り返してもらう。

8.慣れたころにきちんと手順をおぼえているか、成果物に問題がないか再チェックする。

9.手順もすべて頭に入り、成果物も問題がない状態が繰り返されたら、その作業は任せていい状態に入る。

p.87-88,2016年,文響社,『上司1年生の教科書 自分の頭で考えて動く部下の育て方』,篠原信

2.リーダーは仕事を分解する。

たくさんの工程が複雑に絡み合っている仕事は、全体像がつかめているリーダーが、

①いくつかの工程に分解、
②しめきりを設定、
③フォロワーに割り振る
 必要がある。

3.短くても「報・連・相」のタイミングを設けておく。

篠原さんは、朝のミーティングでは前日やったこと今日の予定を、夕は今日やったことを、「なぜそうやるのか(やったのか)」「どうだったのか」など、仮説的思考を促しつつ話し合うようにしているそう。

フォロワーが自主的に報告・連絡・相談してくれたら、前向きに評価する。それにより行動が強化される。

4.複数のフォロワーと付き合うには「公平な偏愛」が大事。

リーダーが特定の誰かをえこひいきしていると、「いくら成績を上げても意味がない」とモチベーションは下がるし、人間関係も悪くなる。

リーダーが公平だと、成績の高低に関わらず同じ扱いなのでやはり「いくら成績を上げても意味がない」となる。

それを解決するには、相手と向き合い、できるだけ理解しようとする姿勢を見せることが大事。それを感じてもらうには、その場その場で目の前にいるフォロワーを大事にすること。そのときは作業の手を止めて、ほかのことを考えないようにしたほうがいい。

5.「がんばるな」といたわる。

「もっとがんばれよ」と言われるとがんばりたくなくなる。

「がんばりすぎると体を壊すよ。ほどほどにして休みなさい」と言われると、もっとがんばりたくなる。

6.注意ではなく、質問で気づかせる。

叱られるのが大嫌いなタイプ。叱られると委縮するタイプがいる。

「惜しい」「悔しい」という表現は、相手の価値が高いという前提からきている。

7.フォロワーに適性がないと感じたら。

フォロワーに適性がないのではなく、自分に導く自身がないのではないか?

フォロワーは、リーダーよりも何かしら優れた能力を持っている。

たけ
たけ

この本でいちばん響いたことです。「フォロワーは、リーダーよりも何かしら優れた能力を持っている。」という前提があるリーダーは、自分で考えて動けるフォロワーに恵まれるということ。

この人についていったら得をしそう=項羽タイプ。

リーダー自身に能力があり、フォロワーの多くが愚かに見えてしまう。フォロワーのほうが愚か者扱いされても仕方ない、と思えるほど、卓越した才能をリーダーが持っている。バカにされても集団から離れないのは、利益があると思うから。逆に言えば利益がないと見限られた時、みなが立ち去ってしまう。

この人についていったら面白そう=劉邦タイプ。

リーダーをバカにしたりできる自由な空気がある。実際、リーダーに大した能力はない。でも憎めない。なんだかそばにいたい。そばに居続けるために、みんなが異能を発揮する。一人一人が育ち、フォロワーの能力が高くなる。リーダーは欠点だらけのリーダーのまま、愛される。

ほかのヒーローと比べてパッとしない劉備玄徳。彼の圧倒的な力は、承認欲求を満たす力なのかもしれない。この人なら自分の存在価値を認めてくれる、この人がいれば自分はこの世に生きてていいと思える、そうした承認欲求を満たしてくれる稀有な存在だったかもしれない。

部下はリーダーよりも何かしら優れた能力を持っていると考えるのが適切。

出会う人に信頼感をもつのがいいんじゃないかと、私は思いました。

たけ
たけ

いい本をありがとうございました!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください