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忘れられない看護|ナースコールが鳴らない夜

10年ほど前の話。病棟でバリバリ夜勤をしていたころのことです。

私が勤めていた病棟は、病院内で最も忙しいと言われるところでした。なぜかというと、入院患者さんに脳の病気の超急性期から回復期・慢性期の方が多かったからです。程度に差はあれど、意識障害・認知障害・運動障害…などいろいろな障害を抱えた方がほとんどでした。

今回のエピソードは、これまで誰にも言ってなかったように思います。記憶が曖昧な部分もありますが、今回告白します。

慢性硬膜下血腫という病気で、血腫を取り除く手術を受けた患者さんのエピソードです。

慢性硬膜下血腫とは、頭部外傷後慢性期(通常1~2ヶ月後)に頭部の頭蓋骨の下にある脳を覆っている硬膜と脳との隙間に血(血腫)が貯まる病気で、血腫が脳を圧迫して様々な症状がみられます(図1)。慢性硬膜血腫は通常、高齢で男性に多く見られます。

「慢性硬膜下血腫」Neuroinfo Japanより引用

60代男性・Iさんは、転倒して頭を打ってから徐々に血腫が大きくなってしまい、意識障害が出たので救急搬送されて入院し緊急手術となりました。術後は軽く認知障害と運動障害はのこったものの、順調にリハビリも始められていました。

Iさんは体の片側に麻痺があるので、トイレへは体を支えるなどの介助が必要でした。夜間は尿器で介助することにしていました。尿意はあったたので、毎回ナースコールを鳴らしてもらっていました。

私が夜勤をした日、やはり病棟全体が忙しい夜でした。巡視とナースコール対応のほかにも、点滴・内服・注入食準備、物品補充・発注、看護記録など、いろんな業務があります。そんな中、Iさんは一度もナースコールを鳴らしませんでした!

Iさんのベッドには、ベッドから離れるとナースコールが鳴るような「転倒防止センサー」を設置していましたが、それも鳴らず。尿器に自分で排尿した痕跡もなく。とにかくよく眠っていました

私は内心、ホッとしていました。「ナースコールを鳴らされると忙しくて大変」と思っていたからです。

早朝、「もしかして」と思って布団の中に手を入れると、Iさんは尿失禁していました。そこで私が考えたのは、「急ぎの業務が終わって、起床時間になってからシーツ交換しよう」ということでした。

その後、Iさんに声をかけてシーツ交換をしようとすると、全く反応がありません。Iさんは昏睡状態だったんです。血圧が異常に高く、瞳孔も左右で大きさが違っていました。脳の病側(手術をした側)に異常が起きているようでした!

Iさんは、当日緊急手術を受けました。

(当直医が的確な指示を出してくれない、主治医は朝8時にならないと連絡がつかないという困難を乗り越えつつ……。)

その後、Iさんは順調に回復されました。

看護部の当直責任者に連絡をして、困っていることや今後の対応を相談したら、よかったと思いました。

たけちゃん

日経メディカル|忘れられないカルテ』を読んで、私も書き留めておきたいと思いました。この告白で、どこに目を向けて仕事をすべきかを改めて確認しました。ここまで読んでくださってありがとうございます

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